ガス空調システム(ガス冷房)には、ガス吸収冷温水機(吸収式)とガスエンジンヒートポンプ(GHP)の2種類があり、地球環境問題や電力負荷平準化問題に貢献できる空調システムとして、年々普及拡大しています。平成23年度で吸収式とGHPを合わせて全国で14万件、ガス冷房総容量は、1,355万RT※で、全国総冷房容量の約2割を占めています。 ガス冷房は、メリットも多く、今後も毎年着実に伸び続けることが見込まれています。 ※RT(冷凍トン)とは、冷凍機や冷房機器の能力を表す単位として用いられ、1RTとは、0℃の水1トンを24時間で0℃の氷にするために取り去られる熱量のことで、3.52kwに相当する。
ガス空調システムのメリット
吸収式ガス冷房は、水の気化熱を利用して冷水をつくり、冷風を送り出すシステムです。
気化熱は、液体が気化(蒸発)するときに周囲から奪う熱量のこと。例えば、注射の前にアルコール消毒をするとその部分がスーッとしますが、これはアルコールが蒸発する時、皮膚の熱を奪ったからです。また、夏に打ち水をすると涼しく感じるのも、まいた水が蒸発する時、地面の熱を奪っていくからです。
吸収式ガス冷房は、水の蒸発・吸収・再生・凝縮を繰り返しています。冷媒に水、吸収溶液には臭化リチウム水溶液を使用し、フロンを全く使用していないので、環境にやさしい冷房システムです。
吸収溶液の再生の部分で都市ガスの熱を利用します。
冷媒の蒸発と凝縮の繰り返しにより冷暖房を行うのがGHPです。
一般に、液体が蒸発する時には周囲の熱を奪い、気体が凝縮する時には熱を発生します。
この性質を利用して、冷媒をコンプレッサで圧縮し、機械的に蒸発と凝縮を繰り返すことで冷暖房を行うしくみが「圧縮式ヒートポンプサイクル」。とくにコンプレッサをガスエンジンで動かすものをGHP(ガスエンジンヒートポンプ=ガスヒーポン)といいます。
年々増え続けているガス冷房。平成23年度現在では、吸収式とGHPを合わせたガス冷房総容量は13,557千RT、設置件数は14万件に達しており、ガス冷房の冷房需要全体に占める割合も23.8%と高くなっています。
平成 13年 |
平成 14年 |
平成 15年 |
平成 16年 |
平成 17年 |
平成 18年 |
平成 19年 |
平成 20年 |
平成 21年 ① |
平成 21年 ② |
平成 22年 |
平成 23年 |
伸び率 (H23/H22) |
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吸収式 | 容量 (千RT) |
7,415 | 7,742 | 8,013 | 8,249 | 8,474 | 8,707 | 8,882 | 8,967 | 9,047 | 9.101 | 9,173 | 100.8% | |
件数 (千件) |
31 | 32 | 32 | 33 | 34 | 34 | 34 | 34 | 33 | 34 | 33 | 33 | 99.6% | |
GHP | 容量 (千HT) |
2,471 | 2,854 | 3,213 | 3,565 | 3,926 | 4,293 | 4,574 | 4,871 | 5,048 | 5,205 | 5,463 | 105.0% | |
容量 (千RT) |
1,976 | 2,284 | 2,570 | 2,852 | 3,141 | 3,435 | 3,659 | 3,897 | 4,041 | 4,168 | 4,385 | 105.2% | ||
件数 (千件) |
85 | 91 | 98 | 103 | 109 | 114 | 117 | 117 | 104 | 118 | 104 | 107 | 103.5% | |
GHP容量比率(%) | 21.0 | 22.8 | 24.3 | 25.7 | 27.0 | 28.3 | 29.2 | 30.3 | 30.9 | 31.4 | 32.3 | 103.0% | ||
ガス冷房総容量 (吸収式+GHP) |
容量 (千RT) |
9,391 | 10,026 | 10,586 | 11,101 | 11,616 | 12,141 | 12,541 | 12,864 | 13,088 | 13,269 | 13,557 | 102.2% | |
件数 (千件) |
116 | 123 | 130 | 136 | 143 | 148 | 152 | 151 | 138 | 152 | 137 | 140 | 102.7% |
※平成21年度から東京ガスが件数の集計方法を建物単位から敷地単位に変更されました。このため、平成21年度の件数の値は、①は東京ガスの数値の敷地単位で集計した値を、②は建物単位で集計した値を反映させています。